庫裏の囲炉裏
住宅
広島県の中央部にある茅葺屋根の寺にある庫裏(住職やその家族が住むところ)の改修である。
囲炉裏から立ち上がる煙は茅葺屋根のある屋根裏まで達することにより、屋根材である茅をいぶすことになる。
煙には虫から茅を守るという重要な役割がる。その煙は囲炉裏のある部屋の欄間を経由し天井裏へ達するルートを通る。
寒い季節にはこの欄間からコールドダウンによる冷気が室内に流入することとなる。
クライアントである住職からの要望はこの欄間に冷気防止の建具を設置してほしいということであった。
単純に建具を設けてしまうと囲炉裏から発生する煙が室内に充満し、5分もその空間にはいることができない。
さらに天井裏まで煙を届けることができない。そこで囲炉裏の直上に有圧換気扇を設け、直接天井裏まで煙を送ることとした。
問題は趣のあるこの囲炉裏の空間を極めて人工的な換気扇が似つかわしくないことである。そこでこの換気扇の性能を損なうことなくかつ、空間の雰囲気を損ねないように如何に隠蔽するかが課題であった。
そこで囲炉裏上部に竹のルーバーを計画し、その中に換気扇を設置することとした。
このルーバーのピッチの検討にBIMを用いることで、住職が座る位置から見上げた時に換気扇の存在が気にならない間隔、かつ煙がスムーズにすり抜ける感覚を検討した。
その結果、空間の質を損なわずに建具を設置することが可能となった。
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